TOPICS

母親の抗体が子の脳の発達に影響を与える ~母乳とミルクに違いはあるのか?~

ポイント

  • 母親の抗体が子の脳にまで到達し、脳内にいるミクログリア細胞※に結合することを発見
  • 抗体に結合したミクログリアは特定のタンパク質を分泌し、脳の各種細胞の密度に影響を与えた
  • 脳の特定のニューロンの数が変化し、社会性行動に違いが生じた

※ミクログリア細胞…脳の細胞の一種で、異物の除去や栄養因子の分泌等を行っている

概要

群馬大学大学院医学系研究科附属教育研究支援センター(群馬県前橋市)の定方哲史准教授と富山大学学術研究部医学系行動生理学講座の高雄啓三教授を中心とする研究グループは、母親の抗体が子の脳の発達に与える影響を、マウスを用いて調べました。その結果、脳の様々な細胞の数が変動することや、マウスの社会性に影響を与えることが明らかになりました。母親の抗体は胎盤や母乳を経由して子に渡されますが、脳に与える影響については解明されていませんでした。今回の研究結果により、母乳による育児は子の脳の発達に影響を与える可能性が示唆されました。
本研究成果は、2024年5月2日に国際科学誌『Journal of Neuroinflammation』誌に掲載されました。

研究内容の詳細

母親の抗体が子の脳の発達に影響を与える ~母乳とミルクに違いはあるのか?~[PDF, 740KB]

論文情報

論文名

Maternal Immunoglobulin G Affects Brain Development of Mouse Offspring

著者

Mizuki Sadakata, Kazuki Fujii, Ryosuke Kaneko, Emi Hosoya, Hisako Sugimoto,Reika Kawabata-Iwakawa, Tetsuhiro Kasamatsu, Shoko Hongo, Yumie Koshidaka,Akinori Takase, Takatoshi Iijima, Keizo Takao, Tetsushi Sadakata

掲載誌

Journal of Neuroinflammation

お問い合わせ

富山大学学術研究部医学系 行動生理学講座
教授 高雄 啓三