労働者の飲酒 ワーク?ライフ?バランスが悪い、仕事のパフォーマンスが低い 親しい友人が少ない人に問題飲酒が多い
ポイント
- 労働者の問題飲酒※1の割合は、男性24.3%、女性10.3%でした。
- 労働者の問題飲酒は、男女共にワーク?ライフ?バランスが悪い人に多いことが分かりました。男性では仕事のパフォーマンスが低いと自己評価している人に、また、女性では親しい友人が少ない人に問題飲酒が多いことが分かりました。これらの要素を改善することが問題飲酒の予防につながる可能性があります。
概要
コロナ禍におけるストレスや在宅勤務の増加により、コロナ禍前と比べて飲酒量が増加していることが問題となっています。問題飲酒は、全死因における死亡リスク、特にがんや脳血管性死亡リスクを増加させることが明らかとなっていますが、労働者においては、労働生産性の低下を招く要因ともなり得ることから、その対策が世界的に重要視されています。そのため、労働者における問題飲酒を防ぐための方策について示唆を得るために、労働者の問題飲酒の関連要因を仕事の側面だけでなく、家庭生活や社会活動の観点から包括的に明らかにすることを目的として研究を行いました。その結果、問題飲酒の関連要因として、ワーク?ライフ?バランスの重要性が明らかとなりました。また、男女で異なる要因も抽出されました。本研究で明らかとなった要因を考慮することで、職場において労働者を問題飲酒から守ると共に、労働環境の悪循環の改善を図るための取り組みが適切に行われようになることが期待されます。
本研究成果は、国際誌「Alcohol」に 2024年2月8日(木)に掲載されました。
用語解説
(※1)問題飲酒
アルコール依存症およびアルコール乱用や有害な飲酒、アルコールに関連した問題や結果を抱えていること、またはそのような問題のリスクがあること。問題飲酒はCAGE スコアを用いて評価しました。具体的には、「今までに酒をやめるべきだと感じたことはあるか」、「あなたの飲酒が批判されて困ったことはあるか」、「自分の飲酒に関して罪悪感を感じたり悪いと感じたことはあるか」、「朝一番(目が覚めた後)、二日酔いや持続的な気分の悪さから飲酒をしたことがあるか」の4項目のうち、2項目以上該当する場合に問題飲酒と定義。厚生労働省の令和元年国民健康?栄養調査によると、「生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をしている者」の割合は、40 歳代の男女でそれぞれ21.0%、13.9%となっています。CAGE スコアによる問題飲酒とは評価方法が異なりますが、よく似た結果となっています。
研究内容の詳細
労働者の飲酒 ワーク?ライフ?バランスが悪い、仕事のパフォーマンスが低い 親しい友人が少ない人に問題飲酒が多い[PDF, 266KB]
論文情報
論文名
Examination of Factors Related to Problem Drinking Among the Working Population:The Japanese Civil Servants Study
著者
Takashi Shigeno, Takashi Tatsuse, Michikazu Sekine, Masaaki Yamada
掲載誌
Alcohol
DOI
https://doi.org/10.1016/j.alcohol.2024.02.001
お問い合わせ
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